2008年06月24日
インナーワールドを体験せよ(十二)
おもしろいことでもあったかのような雰囲気である。
また「どこかの芸能人が近所に住んでいた」とか、
「スマップが撮影をしているのを見た」とか、
「ミスチルが教習所でバイクの練習をしてるのを見た」
などという話を始めるのかと思ったら、その日は違った。
「さっきね、自転車に乗ってたら、髪の毛をひょいって、
うしろから引っ張られる感覚がしたの」
「えっ、通り魔?!」
「ちがうの。乗りながら、真後ろから、ちょいちょいって。
だれか見えない存在が髪をひっぱって合図してるって感じ」
「なんだ、また幽霊か」
N氏は彼女がまた幽霊話をはじめるのかと思った。
「違うの。私、昔聞いたことあるんだけど、
ああいうのを『天使がいたずらする』っていうんだって」
「なんだよそれ」
「いいことや、幸運の知らせなんだって」
「ふうん……」
N氏はヨーコさんの体験、前世療法の実例など、
自分たちの体験も盛り込んで原稿を完成させ、本は出版された。
前世療法がどのようにN氏夫婦を変えたか、
はっきりとはしないが、妻はめったに悪夢を見なくなり、
引っ込み思案で意見を語れなかった性格が
だんだん自分を主張できるようになった。
前世療法のおかげかどうかははっきりとしないものの、
会社でも「強くなったね」といわれたという。
しかし、N氏と妻の関係はいつのまにか変化していき、
ふたりは数年後、離婚を迎えた。
~ 次回へ続く
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