2008年06月17日
インナーワールドを体験せよ(八)
ヨーコさんは席を立ちながらいった。
「ある日、行方がわからなくなっちゃったの」
そして、机の引き出しから一枚の写真を出してN氏に見せた。
「1か月くらいして、これが送られてきたのよ」
そこには、50代の男性が化粧にカツラ姿で、
真っ赤なワンピースを着ている姿があった。
飲み屋街の街角でカメラに微笑んでいる。
見るからに不気味だが、本人はうっとりした表情だ。
これが女に目覚めた男の表情なのか。
「今、新宿2丁目で働いています、って書いてあったの」
「はあ……」
「それはいいんだけど、こういう写真を」
困惑するヨーコさん。
「私に送られても困るじゃない。捨てちゃ悪いかなと思うから、
とってあるんだけど、とっておくものでもないし……いる?」
「や、やめてください」
「そうよね」
「あ、そうそう、話はちがうけど、ライターさんを選ぶときには、
Nさんのほかにも何人か候補を出してもらったのよ。
そのなかから今度の仕事にいちばん向いてる人を
振り子で探したら、Nさんだったのよ」
「そうだったんですか、ありがとうございます」
そんなわけで、なごやかに取材は無事に終了し、
N氏は東京にもどって内容をまとめる作業に入った。
そのあいだに、モノは試しと、
N氏は自分と妻の前世を出してもらうよう、
ヨーコさんに頼んでおいたのだった。
~ 次回へ続く
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