2008年06月03日

インナーワールドを体験せよ(壱)

 雲を抜けると、南国の青い海が眼下に広がった。
 飛行機が降下をはじめる。
 A出版の編集者、安見茂 出蔵(やすみも でるぞう)氏から
 電話があったのは3週間前のことだった。

「南のほうに住んでらっしゃる、前世療法の先生をお願いしたいんですよ」
「前世療法って、催眠術かなんかかけてやる、あれですか?」
「いや、そうじゃないみたいです。Nさん、ダウジングって知ってます?」
「あ、テレビにときどき出てくる、針金もってお化け探すみたいな?」
「あれもそうですけど、ほら、紐の先におもりをつけて
 縦に揺れるか横に揺れるかでイエス・ノーを出すやりかたです。
 振り子ですね。あちらはフーチとおっしゃってました」
「なんかで見たことがありますよ。
 で、それがどう前世療法なんですか?」

「フフフ、まあそれは取材でじっくり聞いてみてくださいよ。
 体験してほしい、っておっしゃってましたし」
「お化けとか、そういうのはないでしょうね?」
「フフフ、わかりませんよ」
「また突撃取材みたいになってるじゃないですか」
「ついでに私は行けませんけどね」
「出たよ~」
「だって、予算で2人分の飛行機代と宿泊費が出ないんですよ~」
「ハイハイ」
「ま、ゆっくりハブ酒でも飲んできてくださいよ」

「こんにちは」
 空港に出迎えてくださった依頼人は、
 超能力者? というより、気さくな50代女性といった感じで、
 変わった仕事をしている人には見えなかった。

                 ~ 次回へ続く
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投稿者 Napori Takao : 10:03 | コメント (0)

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