2008年05月13日

ガンコジジイの正体(2)

 以下、ご主人の談。
「そのおじいさんは、ふつうの施設じゃなくて、
 ほら、お金持ちが入るような、永住タイプのマンションみたいな施設にね、
 住んでた人なんですよ。ところが、体も頭のほうも弱ってきて、
 ひとりじゃ来られなくなったわけ。

 その人は最初は床屋にくるのがイヤでねえ、
 もうすわったときから、イライラしてるわけ。
 せっかちでね、私が髪を切って頭を洗おうとすると、
『切ったな? オレ帰る!』だもの。
『ちょっと待ってください、まだ洗ってないじゃないですか!」
『そんなものはどうでもいい!』
『どうでもいいったって、帰りに電車乗るんでしょ? 
 パラパラ髪の毛がそこら中に散って、まわりのお客さんに迷惑ですから!』
『そんなものはどうでもいい!』
 で、どんどん帰ろうとするわけ。

 付添人が店の隅で待っててね、
 そういうことを言い出すと、その人が慌てるの。
『ダメです! 今日はAさんの法事じゃありませんか!
 さっぱりして、きれいにしていただくように言われております! 
 どうか最後までお願いいたします!』
『うるさい! お前はだまっとれ!』
 こんな感じで、たいへんなの。まあ、とにかく態度が、
 すごく偉そうなわけですよ。もう昔の軍人さん、という感じでねえ。

 ところがそのうちに、なにが気にいったのかわからないんだけど、
 よく店にくるようになったわけですよ。
 気持ちだけは元気でね~え。
 とにかく施設を出たくてしょうがないのかな。
 1週間に1回来るようになっちゃった」

                 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00