2008年04月14日

のらりくらり妖怪を攻略せよ(七)

 ムダ話につき合ってられないN氏は、
 ここで言葉の洪水を止めにかかった。
「ち、ちょっとお話し中に失礼します。この前も、それから
 今日もですね、お話をうかがっていると、義理の息子さんのお嫁さんの話が
 かなりでてくるようですけど、ほんとうに書かなくていいんですか?
 ほんとうはその方のマナーについて、
 いろいろおっしゃりたいんじゃないんですか?」
「はあ……まあその」

「それほど大事なお話というか、貴重なお話のタネがあるなら、
 東京で会った知人ということにしたり、現実の設定を変えてみたり、
 御本人にわからないような形で、登場させる方法がありますが」
「ああ! そうですね、それがいいですね!」
「わかりました。ではそのお話、ほかにもお聞きしましょう」

 ふたたび、義理の息子の嫁の話が1時間。
 しかし、話し終えて放心状態になった女性はいった。
「やっぱり、この話は書けませんけどね」
「えっ?! だってさっき……」
「フフフ、だってねえ、やっぱり設定変えて書いたって、
 本人にはバレちゃいますよ。この本のことも話しちゃいましたし、フフフ」
 いい加減にしろー!!!
 心で怒鳴り散らし、呪いの言葉を吐き散らすN氏。

 そして、悟ったのだ。
 この人は本を出したいんじゃない。
 ただカウンセラーがほしいだけなんだ……
 取材はもう2日目、延べ取材時間は10時間以上に及んでいるのに、
 この人は義理の家族にたいする不満ばかり、ぶちまけているのだ。
 どうすればいいんだ。N氏は窮地に追い込まれた。

                 ~ 次回へ続く
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投稿者 Napori Takao : 07:00 | コメント (0)

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