2008年04月11日

のらりくらり妖怪を攻略せよ(六)

 N氏はなだめにかかる。
 これ以上、おかしな話につきあっていられないし、
 もう著作の方向性はこれしかないのだ。
「まあ、同じ論調ということはよくあることですし、
 同じ文章で書かなければいいんですよ」
「でも、アタシの考えてることの全部が全部、このとおりなんです!」
 つまり、自分の言葉で語れない、というわけだ。

 N氏はいい加減、腹がたってきた。
「しかし、いつまでも前に進まないわけにもいきませんから、
 どうです、ご自分の言葉でご自分の生活のまわりだけに
 しぼってお話しになってみては? もちろん、ご家族のお話が無理でしたら、
 過去にさかのぼってみたり、街でこういう人を見かけたけれど、
 このマナーはいかがなものか、とか、いろいろ切り口はありますから」
「あら、いいですねえ!
 アタシ、そういうのではいいたいこといっぱいあります!」
「じゃ、身近な話題からいきましょう」
「ええ!」

 他人や社会への不満はいっぱいたまっているらしく、
 女性は機関銃のようにしゃべりだした。ところが、
 最近の30代女性に関しての文句ばかりが口をついて出るのだ。
 これはよく考えてみたら、義理の息子の嫁の話じゃないのか?

「この前もね、私がお茶菓子あげたんですけどね、
 次にうちへ訪ねてきたときにお礼を言わないんですよ!」
「それはもしかして、義理の息子さんのお嫁さんの話ですか?」
「ええ、そうなんです!」
「でも、それは書けないんでしょ?」
「でも、おかしいと思いませんか?!」

 興奮した女性はもう止まらない。
「ふつうはねえ、ほら、『先日はありがとうございました』
 みたいなことをいうじゃありませんか! それが礼儀でしょ?!
 でも言わないんですよ、あの人! だから、もうモノをあげない
 ことにしたんです! いえね、アタシはいやらしいことを
 いうんじゃないんですよ。なにもねえ、お礼をいってくれだなんて
 押し付けるつもりはないんですの!」

 押し付けてるって。
「でもね、こういうのって、気持ちじゃありませんか?!」
 顔が真っ赤だ。たしか血圧が高いと聞いたけど、
 頼むからここで倒れないでくれ!

                 ~ 次回へ続く
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イランのオリーブ石鹸が、なかなか気持ちいい、今日この頃のナポリタカオです。
取材で外出などもあるので、土日は連休します。
また月曜日にお会いしましょう。

投稿者 Napori Takao : 07:00 | コメント (0)

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