2008年04月08日

のらりくらり妖怪を攻略せよ(参)

 ところが、女性は見栄をはる生き物なので厄介なのだ。
「そんなの今さら、書く気なんぞないザマス」
「ホホホ、昔話なんぞ、人様にお恥ずかしいザマス」
 みたいなことをいうのだ。しかし、書きたい動機がはっきりしているのに、
 書けないということは自分のなかで破綻を起こしてしまう。
 それは取材の進行が滞るという形で現れる。

 N氏はダメもとで探りをいれてみた。
「どうなんでしょうね、ご家族の話を書けないとしても、
 ちょっと設定を変えてほかの人の話として書くとか、
 小説という形もありますが」
「やっぱり、まわりにばれてしまうんじゃないでしょうか」
 この答えは予測済みだが、最終確認のためである。
 やはり家族の話は書かない、という方向でいくしかないか。
「家族の話はね、今の主人もいるし、
 主人の家族もあることですから、書けないんです」
 この人のストレスの原因は『主人の家族』なのかもしれない。

「では、家族にふれないで、今のご自身の生活を綴る
 エッセイという形ではどうですか」
「あら、いいですねえ! それがいいわ!」
「じゃ、ふだんのご趣味などからお聞きしたいんですが」
「趣味ねえ……とくにねえ」
 もしもし、やる気ありますか? N氏は心でつっこむ。

「まあ、むずかしくお考えになる必要はありませんよ、
 お好きなことについて話してくださればけっこうですから。
 お友達とはどのようなおつきあいを?」
「そうですねえ、私、今の主人と再婚してから、こちらに移り住んだんですけど、
 このへんの人たちとはまったく交流がないんですよ。
 最近のご近所付き合いというのはつまらないですねえ。
 年配のご夫婦なんかだと、子どももいないし、昼間なんか
 うちのまわりはまるでゴーストタウンですよ。誰もいないのかなと思って
 ちょっとのぞくと、家の中でTVなんか見てらっしゃるんですよ」
 こういう人に自分の家をのぞかれたらヤダなあ……

                 ~ 次回へ続く
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投稿者 Napori Takao : 07:00 | コメント (0)

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