2008年03月31日

密室取材に耐えよ(四)

 「鵜垂 内蔵(うたれ ないぞう)(仮名)が
 判定で破れた試合がありましてね、
 判定おかしいやろ! って文句つけたら、
 次の日に私が新聞に載ってましたよ」
 Aさんは笑いながら当時の新聞を差し出した。

『鵜垂敗れる! セコンド不服で試合後大混乱!』
 東スポだったか、スポニチだったか、
 1面の見出しに、鵜垂選手をさしおいて、
 現役時代の強面をしたAさんが
 リング上で吠えている様子がアップで写っていた。

 それにしても、ヒットマンが気にかかる。
 飛び込んできたら、ソファーのむこうへ逃げるか。
 でも、Aさんの話を聞いてみれば、こんなときの
 人間というのはアタマに血がのぼると自分でも
 わけがわからないほど残酷になるらしい。
 つまり、まともな考えで対処しても、しょうがないのだが。
 あ~どうすればいいんだ。

 120分の録音テープが2巻終わり、次のテープを差し替えた。
 いつの間にか、話の流れは「引退の理由」に向かう。
 これもまた書けないのは残念だが、話の流れから
 AさんはN氏に「あるものを見せたい」といった。

 Aさんは立ち上がって神棚に向い、ある小瓶をもってきた。
 アリナミンAの小瓶である。
 なにやら小さなものが褐色の液体に浮いていた。
「それは……」
「私の小指なんです」
「えっ?! な、なぜここに?!」

                 ~ 次回へ続く
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投稿者 Napori Takao : 07:00 | コメント (0)

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