2008年03月27日
密室取材に耐えよ(壱)
もう10年も前になる。
A出版の編集者、安見茂 出蔵(やすみも でるぞう)氏から
出版裏社会のカリスマ代筆人、N氏に連絡が入った。
「Nさん、また仕事をお願いしたいんですが」
「ありがとうございます」
「ある人の半生記なんですが、今回はちょっと」
「どうしたんですか? なんだか、いいづらそうですね。毎度のことだけど」
「ヘヘヘ、次はチェンジアップだけで完投できる案件、まわしますから。
ま、今回は直球勝負で投げ込んでほしいんですけど」
「わかりました。で?」
「極道の方なんです」
「とうとう来ましたか」
この仕事をやっていたら、おそらく一度くらいは
経験しなければならないだろうと、思ってはいた。
が、こんなに早く、その機会が訪れるとは……
あわててフォローする安見茂氏。
「いえ、正確には現役じゃないんですよ。
引退したばっかりで、今はほかのお仕事をされていますから」
学生時代、新宿の深夜喫茶でバイトしていた頃、
深夜になると客の半分以上はそのスジの方であった。
基本的には「いつも離れて軽く会釈」しておけば害はないと悟った。
このあたりの話はまた別の機会に書くとして、
ともかくN氏はその仕事を引き受けることになった。
ちなみに、「危険手当」は出ない。
そしてN氏は、現在、堅気の職業に就いていらっしゃる
Aさんの事務所を訪れた。が、玄関にあるモノを発見した。
監視カメラが置かれている! 何のためにあるの?!
どんな来客を監視するためにあるの?!
堅気の職業ならいらないはずでは?!
~ 次回へ続く
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投稿者 Napori Takao : 07:00