2008年03月10日
眼科のとまどい(7)
N氏は女医さんに必死に訴えた。
「あの、こういう症状の治療はないんですか?」
「今のところはないんですよね~
目の機能には問題ありませんし」
「じゃ、角膜をダルダルにしない目の体操みたいなのは」
「ちょっと……ないですね」
気の毒そうに女医さんはいう。
そういえば実家のネコが年をとってきてから、
角膜が同じようにダルダルになりつつある。
人間もネコも大差ないのだ。
「じゃ、このままいくと、角膜がもっとたるんできちゃって
ダルダルのダルダルになっちゃうんですか」
「それほどひどくはならないと思いますよ。
ゆっくり進行するものですから。そうですね、ご年配の方ですと、
下まぶたの上に膜がたまってしまって、
ユルユルのダルダルになっちゃってる方もいます」
「ユルユルのダルダル! だいじょうぶなんですか、それで?」
「ええ、目の機能には問題ありませんよ。かゆいときに
かいちゃって炎症を起こす人もいますから、
強くこすったりだけはしないでくださいね」
「角膜が破れたりするんですか?」
「いえ、丈夫ですから、そのくらいならだいじょうぶですよ」
「そうですか」
「なにか変化があった場合には、一応、いらしてみてください」
そんな気休めはやめてくれ。ダルダルに現代医学はなすすべもないのに。
「……わかりました。ありがとうございました」
「お大事に~」
N氏は保険証を受け取って2200円を払った。
なにもなかったのだから、これは安心料なのかもしれない。
帰途につくN氏の頭にふたたび、さっきの言葉が蘇ってくる。
ろうか~ろうか~ろうか~ろうか~ろうか~ろうか~。
最近、毛が耳のへんなところから生えてくるようになったのも
そんな現象のひとつだろうか。
The End
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投稿者 Napori Takao : 07:00