2008年02月20日

横山大観展(3)

やってきたのは上下のスーツ姿の中年女性だ。
「私はキャリア系なの!」といわんばかりに胸を張り、
背筋を伸ばして硬いパンプスの音を立てて歩きまわる。
その音は静寂な美術館のなかに高らかに響くが、
彼女にはこれが気持よくてたまらないらしい。
カツカツ! カツカツ! カツカツ! カツカツ!

あ~この靴音を響かせて歩きまわることこそ、
あ~生きてるって実感がするわ!
カツカツ! カツカツ! カツカツ! カツカツ!
たしかに、グレーのスーツも決まっている。
彼女が肥満体であることを除けば。

スーツ女性はときに自分の体重で場内の床をギーギー
きしませながら、そこら中、音を立てて歩き回った。
ガードマンは顔をしかめた。大観先生の作品に失礼じゃないか。
マナーってものがあるだろ。どうして音のしない靴を履かないんだ。

館内係の女性と彼の目が合った。
まあまあ、そうムキにならないで、
と彼女は苦笑してガードマンをなだめる。
そう、彼は見るからに正義感の強いガードマンなのだ。

そのとき、ガードマンの横を真っ赤な
ロングコートを来た年配女性が通り過ぎた。
クリスマスでもないのに、サンタクロースのような服!
大観先生の白と黒を基調とした世界がぶち壊しじゃないか。
ガードマンのこめかみがピクピク震え始めた。

                 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00