2007年12月22日

クレームの鬼(4)

「これは詐欺行為よ! あなたたち社員には誇りがないの?
 盛り上げていこうっていう気がないの?」
「もちろんございますが、当社のシステムとしてはそのような
 ことになってますわけでございまして。
 テナントさんに対してもできる範囲がございます」
 最後まで折れない苦情対策係2人に、オバサンはとうとうキレた。
「どうするのか、きっちり上司と相談してよお!
 よく聞いときなさい! 商品券が使えるようにしなさい!
 スクールもあの講師をクビにしなさい!」

 そして、仁王立ちになって、最後勧告だ。
「まったくアンタら、芦屋の主婦仲間に言うたろか?」
 えっ、あなたが芦屋の主婦? でも、言ってどうする?
「アンタら、なに言われてるか、ホンマ知ってる?!
『アンタらが地下で売ってる肉なんて、ワラジのようや!』
 ってみんな言うてるで、ホンマに! ホンマやでえ!!
 この次会うときまでに、ちゃんとしときなさいよ!」

 イヤがらせとしか思えない言葉を吐いて、
 オバサンは憮然として出て行った。店内にやっと流れる静寂。
 すると、驚くべきことが起きた。
 カウンターにすわっていた、Yシャツの50代オヤジが振り向いたのだ。
「いやあ、大変だったね」
 なんと彼はカウンターで背中を向けて、部下のクレーム処理を
 しっかり聞いていたのだ。上司なのか、関係者なのか知らないが、
 自分が出ていかないなんて、ちょっとずるい。

 20代苦情対策係は、率直な不快感を交えて言う。
「ふう……疲れました」
 30代苦情対策係はストレスを抱え込んだまま、薄く言う。
「ハイ……」
 Yシャツオヤジは、まわりから注目を浴びているのを察して、
 抑え気味に声をかける。
「結局、カルチャーの7万が返ってくれば、それでいいんでしょ?」
「ハイ、そうだと思います」
 と30代苦情対策係。そういうことか。

「やるだけやったんだから、もういいよ、な」
「ハイ」とふたり。
「じゃ、いこか」
 コーヒーを味わう暇もなかった2人と、
 ヒヤヒヤしながら味わっていた1人の息づまる午後。
 あのオバサン、ほんとうに芦屋のマダムだったのだろうか。

                 The End
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投稿者 Napori Takao : 07:00 | コメント (4)

コメント

おばんの方にも一理ある気もしないでもないけど
長時間の口論ってすごいロスですね。

投稿者 fuk : 2007年12月22日 13:36

fukさんへ

コメントありがとうございます。
この人はこれで自分をある意味、
「癒してる」んじゃないでしょうか。
2メートル以内に近づきたくないですけどね~

最近は他人の口論もネタになるので、
けっこうじっくり聞いてしまいますよ。

投稿者 ナポリタカオ : 2007年12月22日 15:32

Blog Lankingが21位に浮上してきたな。
ヨシャ! それいけドンドン 落ちたアカンデ!
芦屋のオバハンなめんなよ。
では貴殿の拳闘を祈る。

投稿者 ggcrn : 2007年12月22日 23:22

ggcrnさんへ

コメントありがとうございます。
昨日はお休みしたので今頃になってしまってすみません。
応援ありがとうございます!
次のネタは年越しにならないように気をつけます。
あ~年賀状を書かなければ~

投稿者 ナポリタカオ : 2007年12月24日 10:12