2007年11月07日
心の砂漠
2日後。これを最後にしようと決めて、
電話を入れると、またクール大杉が出た。
「えーと、名堀さん、どこ行ったことあったっけ?」
「A運送とAスーパーです」
「ああ、それならね、Bスーパーさん行ってもらうよ」
「Bスーパーですか?」
「うん、Aスーパーさんと仕事はほとんど同じ。でも、
こっちは8時から5時で、7700円。いいでしょ?」
たしかに、ほかの仕事にくらべれば、時間のわりにはいいかもしれない。
これにはきっと、なにかわけがありそうだ。
「わかりました」
「でね、7時に川崎駅から電話くださいよ。電話もらってから、
こっちも給料の書類をつくるから」
「この前のAスーパーのときには、何度かけてもつながりませんでしたよ」
「ああ、そのときはあきらめないで何度もかけてください」
「この前のように20分も電話がつながらなかったらどうするんですか」
「いや、必ずつまかるから」
大杉は無感情でとりあわなかった。
うそをつけ。腹が立ってきたので、私は彼に文句を言った。
「冷蔵庫に入るなら、上着持ってこいって言ってくださいね」
「ああ、今度もそうだから」
この男が鼻につくのは、こっちを見下した、こんな応対のせいだ。
こちらの感情などおかまいなく、彼は早口に続ける。
「でね、東口X番出口Y番バス、東扇島循環ってバスに乗って、
XXXってとこで降りてください。いい?
東口X番出口Y番バス、東扇島循環、XXXね」
「電車の交通費のほかに、バス代の往復まで自腹ですか?
駅からバスが出ないんですか?」
どこまで人の足許を見るんだ。私の怒りに、ほんの一瞬
うろたえるような間があったが、すぐに冷徹な口調になった。
「そう。遅刻しないでね」
「しませんよ」
「遅刻したらいろんな人に迷惑かかるからね」
「今までしたことないでしょ!」
思わず憤慨した。
「じゃよろしく」
彼らにとっては契約を守らせることがすべてで、
あとは本人がどうなろうと知ったことではないのだ。
日雇い3日目16:00-16:10 ~ To be continued
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