2007年11月03日

家庭の事情

 私は待ち合わせのときに知り合った男と話した。
 彼は自分の名前を山下と名乗った。
「山下さんはよくここに入るんですか?」
「いえ、1週間に2日くらいです。私、ふだんはほかの運送会社の
 倉庫で働いてるんですけど、最近、子どもが生まれまして、
 仕事しなくちゃならなくなっちゃったんです」
 山下はうれしそうに話した。
「そうですか、それはおめでとうございます」
「ありがとうございます」

この仕事の掛け持ちはさぞたいへんだろう、と思ったが、
それほど疲労がたまっているようにも見えない。
無理しない程度に働いているのだろう。山下は実直そうな男だが、
こうした人物とも、たぶんひと晩限りで会えなくなるだろう。
そういえば、初日に出会った田中はどうしているだろう。

「やっぱり倉庫の仕事なんかは、直接A運送みたいなところで
 登録してやったほうが待遇はいいんでしょ?」
「ええ、もちろんそうです。でも、私の場合は勤務時間が
 ある程度決まってまして、それ以上できないんでしかたなく
 こっちに来てるんです」
「そうですか」

だまっていても失礼だと思ったので、私も自分の事情を話し、
本業にもどるのでそろそろ終わりになるだろう、と話すと、
気楽に話せるようになったようだった。おたがい、
事情があってここで仕事をしているが、本業とはちがうのだ、
という自負が自分のプライドを支えている。

「まあ、ホイホイサービスは、
 いろいろ事情のある人が登録するようですね……」
「だからむこうも手荒く使えるってわけですか」
「ええ、足元みてきますよね」
「どんな会社なんですか、ホイホイサービスは?」
「さあ、よく知りませんけど、
 X大学の柔道部の人脈でつくったとか、聞きましたよ」
 がっしりした男が会社の制服を着ていたのを思い出した。

       日雇い2日目00:30-01:00 ~ To be continued
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人気blogランキングへ
 ↑ ↑ ブログランキングに参加しています。クリックで応援いただけるとありがたいです。


投稿者 Napori Takao : 07:00 | コメント (0)

コメント

コメントを送ってください




ログイン情報を記憶しますか?

(スタイル用のHTMLタグが使えます)