2007年10月31日

情報不足

 私はさっきから立っている30くらいの男に近づいた。
「失礼ですけど、お仕事の待ち合わせですか?」
「はい、そうです。あ、ホイホイのかたですか?」
 眼鏡をかけたひょろっとした男はハキハキとこたえ、
 聞きかえしてきた。いくらか、ほっとした。
「はい、今日からなんですけど。バス、だいじょうぶですかね?」
「あ、だいじょうぶですよ、いつもこんなもんですから。
 道が混んでるんじゃないですか」
 彼がふつうの物腰でこたえるので、ほっとした。
 何回か、この仕事をやっているのだろう。

 今日の現場であるAスーパーについて聞いてみる。
「倉庫に入るらしいですけど、どんな仕事なんですか?」
「冷蔵庫に入るんですよ」
「冷蔵庫ですか?」
「仕事はきつくはないけど寒いですよ」
 彼は私の半袖姿とバッグの軽装に気づいて言った。
「トレーナーもってこいって言われました?」
「いいえ、なんにも。冷蔵庫に入るってことも言ってんませんでした」
「ああ、そうなんですよねえ。そういうとこ、
 不親切なんですよね、ホイホイって」
 彼はあきれたように苦笑した。

 今さら腹を立ててもしかたない。
「どんな冷蔵庫なんですか?」
「食品の仕分けをやるだけです。そんなにきつくはないです。まあ、
 ここは寒さだけですね。あったかくしてやらないと、風邪ひきますよ」

 マイクロバスがMの前の路肩に到着した。
「あ、あれです」
 彼にうながされて私が乗りこもうとしたときだった。
 突然、50前後の男、30代くらいの男が6人ほど、
 あたりの物陰から飛び出してきてバスに駆け込んできた。

       日雇い2日目19:35-19:45 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00