2007年10月19日
憎悪の塊
「これならC運送で直接働いたほうがいいですよ。でもあそこは
保険証がないとだめだし、2週間に1回の支払いなんですよ」
「そうですか。そのようがいいんですかね」
「でもやめにくいっていうか、すぐに金がもらえないのはどうかなあ。
それにしても安いよねえ、ここの仕事。これだけやって1万なんて。
きっとひとり5千円くらいは抜いてるよ、会社が。
いや、へたしたら1万かもしれない」
空が明るくなってくると、いくぶん気がラクになった。もうすこしの辛抱だ。
もう二度とこんなところへもどるものか。田中はそれからも仕事への
不満をつぶやいたが、言ってもムダだと悟ったのか、しゃべらなくなった。
そして立ち小便と、とりとめもない話をして5時を迎えた。
「もうすこし、がんばりましょうか」
「がんばりますか」
私たちは腰をあげた。疲労は重く、体にのしかかっていたが、
長めの休憩でかなり回復していた。そのぶん、
またしっかり体力を奪われるのだろう。
休憩後は今までと反対のレーンに移り、説明を受けた。
私はまた大田区に荷物を割り振る役目である。
休憩のあいだにまた荷物が届いたということなのだろうか。
今度はひとりで区分けをまかされたので、そちらのレーンに
向かおうとすると、まんなか分けの太っちょがいきなり私に怒鳴った。
「おいお前、ちょっと来い!」
私より5つくらい年下に見える男だ。
私がそばにいくと、ある番号のついたレーンを指差した。
「あれ見えるか、あそこに長いアルミの棒!」
「はい」
「あれ2本とってこい!」
言われたとおりにとってきて渡すと、今度はべつの用事を言いつけた。
「いいか、あそこにボックスがあるな。あの青いの! あそこの
ふたをあけると、なかにスイッチがあるから、そのスイッチで
クレーンが上がる! それを俺が『上げろ』と言ったら上げろ!
『下げろ』と言ったら下げろ! この棒をひっかけてから合図するからな!」
太っちょは自分の頭の前で、くるくるパーと手でアクションをした。
「いいか、これ(バカ)でもわかるように説明してんだぞ、わかったな?!」
私は答えず、思わずにらみつけた。この野郎……
日雇い1日目04:40-05:20 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00