[2007年10月] アーカイブ
情報不足 (10月31日)
私はさっきから立っている30くらいの男に近づいた。 「失礼ですけど、お仕事の待ち合わせですか?」 「はい、そうです。あ...
バスは来ない (10月30日)
クール大杉は上からモノを言うように話した。 「川崎のAスーパーのセンターの夜勤がありますよ」 食品を一括管理するスー...
今しかできない (10月29日)
この日の夕方、ある出版社から連絡が入った。 「上司と相談しまして、契約させていただくことになりました。 いつから仕事...
猫撫で声 (10月27日)
駅付近のスーパーで朝から缶ビールを3本買い、 風呂に入ったあとで飲んだ。働いても毎回こんなふうに酒に 金を使っていたらろ...
朝から根まわし (10月26日)
田中は電話を切り、苦笑した。 「ぼくのとこ、朝から電話かかってきちゃうんですよ」 迷惑そうに言うが、どこかうれしそう...
第5章 真夜中の冷蔵人間 ~帰途 (10月25日)
東京駅から中央線に乗ってから、しまった、と思った。 中央線沿線は昔いた会社の最寄り駅である。 会社をやめてからも、まだ当...
哀れな獣たち (10月24日)
更衣室で着替えをすませていると、名前を呼ばれ、給料を渡された。 安物の封筒には、ボールペンで乱雑に¥10,000と書いて...
午前8時 (10月23日)
うんざりしながらほかのエリアにまわり、荷物をさばく。 ゆっくりやったつもりだが、10分以内におわってしまった。 ま...
小さなぬくもり (10月22日)
6時をまわった。8時までの契約までもう少しだ。 時計を何度も盗み見る。あと1時間半、あと1時間…… 時間がとても長く感じ...
身のほどしらずにお説教 (10月20日)
しかし、この状況では、とりあえず従うしかなさそうだ。 構内ではカメラが何台も作業を監視している。なにかあれば、 A運送の...
憎悪の塊 (10月19日)
「これならC運送で直接働いたほうがいいですよ。でもあそこは 保険証がないとだめだし、2週間に1回の支払いなんですよ」 ...
夢をつかむために (10月18日)
田中のひとり語りは続いた。自分の思いを 話せる相手に、しばらくぶりに会えたようだ。 「女房に怒られましたよ。これから...
覚悟の辞表 (10月17日)
田中はすべての日雇いを否定するような言い方をしたが、 私は、少なくとも坂田はこの仕事が好きで、 自分の生き場所として楽し...
潮風 (10月16日)
私たちは階段のところにすわろうとしたが、ほかの男が 付近にきたので、田中は目線で「そとへ出よう」と合図してきた。 私たち...
第4章 夜明けにつぶやく夢物語 ~休憩室の暗闇 (10月15日)
私は戦闘を歩く、坂田の背中を休憩室まで追いかけた。 部屋に入りながらふりかえり、彼は上機嫌で叫んだ。 「5時まで休憩...
威張る太っちょ (10月13日)
休憩のたびにさんざん水分をとったのだが、 午前2時をまわると、喉がからからになった。 それとともに足元がおぼつかなくなり...
夜明けは永遠に来ない (10月12日)
休憩室にもどったが、知り合ったばかりの田中は まだ働いているらしく、休憩室にはいなかった。 重い疲労はあったが、まだこの...
倒れこむ男たち (10月11日)
休憩は30分だった。そのあいだに食事をしろ、と言うのだが、 食堂はもうしまっていて、自動販売機のパンやおにぎりしかない。...
荷物の濁流 (10月10日)
フォークリフトはひと晩中、トラックに台車を運び出している。 運転しているのはA運送の作業服を着た50くらいの男だった。 ...
真夜中の罵声 (10月 9日)
坂田は吉田よりは新入りの扱いかたがうまかった。 が、私が一度だけ空の台車の置き場所を まちがえたときには、人が変っ...
懇願する男 (10月 8日)
坂田は冷たい男ではない。たぶん言いたかったのは、 もっと要領よく動け、ということなのだろう。全体の仕事の流れが あるのだ...
将棋指し登場 (10月 6日)
私に遅れること数十分ほどして、背の低い新入りが フロアーに顔を出した。本業は『将棋指し』だが、 食えないのでここへ...
ため口と敬語 (10月 5日)
そこには、ミーティングでニコニコしていた、 『坂田利夫』に似た声の男が立っていた。40くらいだろうか。 彼は私の顔...
第3章 兵隊蟻 ~排気ガスにまみれて (10月 4日)
冷蔵庫、パソコン、テレビ台、工業部品の重いパイプ、 精密機械、新聞社の備品……さまざまなものが次から次へと 送られてくる...
すべり台の往復 (10月 3日)
吉田が相変わらずの無愛想な顔で私に言った。 「あれは、上のほうで荷物がつかえたって合図だから。 ほら、あそこ。すぐに...
お山の大将 (10月 2日)
単純作業なので、ラクかもしれないと思ったが、そうでもない。 荷物は次々に流れてくる。間違ってほかの地域が紛れ込んで くる...
20番レーンのコンビ (10月 1日)
巨大倉庫に向かうと、現場を仕切る 50くらいの男が新入りの私たちを呼び寄せた。 「新しい人たちはこっちへ来てください...