2007年09月21日

駆け引き

それから軍手を500円、Tシャツを100円で買わされた。
さすが100円というだけあって、Tシャツは薄手の安物だ。
会社の名前が安っぽい書体で入っている。
町内会の催し物に急ごしらえで作ったようなセンスだった。
こんなものを着てやらされるのかと思うと気が滅入る。
千円出した私だけ忘れられて、お釣りをもらえなかったので、
そのことを伝えると「あ、ごめんなさい」と大杉は釣銭をもってきた。

「さて、今日やっていただける方は?」
 私と40代の男、そしてアメをしゃぶっていた、ニヤケ裕二が手をあげた。
 そのニヤケ裕二が聞いた。
「現場はどこですか?」
「A運送」
 すかさず彼は顔を曇らせた。
「あ、でも」
「すいません、僕、A運送で朝までやると、ちょっと帰りに
 予定あるんで、仕事わけてもらっていいですか?」

 大杉は一瞬カチンときたようだが、
 すぐ冷静になって冷たい目を向けながら言った。
「ああ、いいよ。で、何時までならA運送でできるの?」
「10時までにしてもらえますか」
「わかった。それからあとは?」
「××の仕事はありますか? あっちならウチも近いんで」
 彼は大手のスーパーの名を口にした。
 食品の倉庫なのだろう。

「ああ、あいてるよ。じゃ10時に終わったら、
 そっちにまわってもらうから、××は11時から入れる?」
「はい」
「で、朝5時まででいいね?」
「はい」
 ニヤケ裕二は満足そうに頷いた。
「じゃ、ほかのあなた方は、A運送で夜6時から朝8時までやってもらいます」
 私たちが頷くと、ニヤケ裕二がうつむいて苦笑した。
 この男はいろいろ裏を知っている。

        日雇い1日目16:50-17:00 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00