2007年09月18日
冷血男登場
20代半ばの男だけがひとり、口に入れた飴をボリボリかじっていた。
雰囲気から察するとはじめてではないようだ。
どこかニヤケて、人を食ったような表情をしているので、
私はひそかに、この男をニヤケ裕二と名づけた。
私は薄汚れたバンのなかで、ひと山いくら、と売られていく
野菜の気分を味わった。まわりの景色も目に入らなかった。
自分で選んだとはいえ、やはり惨めな気分になってくる。
なんで私はまたこんなことをやっているのだろう。
ドライバーの男は走り出してすぐに、首を半分、
後ろに向けて話しかけてきた。
「いやあ、今日は暑いですねえ」
安心感をあたえようとしているのがよくわかる。
重苦しい車内では、みんなどう答えていいのかわからず、
こわばった顔でうなずくだけだった。
「みなさんには、これからA駅にある本社で面接受けていただきます。
この車で送っていきますから」
なぜ直接本社へ来い、と言わないのだろう。10分ほどして
A駅の本社前についた。ガードマンのような制服を着た若い男が
ひとり立っていて、ドライバーと私たちをむかえた。
「お疲れさまです!」
「7階が事務所ですからどうぞ」
ドライバーに案内されていくと、責任者らしい四十くらいの男が出てきた。
眼鏡をかけた、日にやけた男だった。言葉使いはていねいだが、
吊り上った目と低い声は、冷血教師といった雰囲気だ。
「ここにすわってください」
声がヤクルトスワローズの故・大杉勝男にそっくりだった。
日雇い1日目15:40-16:00 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00