2007年08月23日

救急車を呼ぶな

「あのときはここのオヤジがひでえこと言ったもんだぜ」
 ジャイアンツはオヤジを一瞥した。
 オヤジは三木と談笑している。
 このところ、徳山組に一日も早く移籍をしたい三木は、
 オヤジにべったりだ。

「『うちは金がねえんだ、この人は寺本の人なんだから
 そっちで面倒見るなり、救急車呼ぶなりしてくれ』だとよ。
 ひでえだろ。それでよ、さすがに俺たちも言ったんだ、
 『そんな言いかたはないでしょ、オヤジさん。
 人の命がかかってるときに頼んますよ!』って」

「なあ、それがふつうだろ? それでもオヤジは頑として
 ゆずらねえんだ。結局、オヤジが自分の車で寺本の飯場まで
 オッサン運んで、飯場からホリさんが救急車呼んだんだぜ!」

 私が初日の運転や重労働に息も絶え絶えだったころ、
 ほかの現場ではこんなことが起きていたのだった。
「あのときは俺がホリさんといっしょに、付添いで救急車に乗ったんだ。
 それでオッサン、命は助かったんだけどよ、
 なにしろ、意識不明のままでなあ」
 ジャイアンツは、人助けをしたかのように語るが、
 本当はどうせ興味半分でついていっただけだろう。

「検査した医者が言うには、『ふつう人の胃はこぶし大の大きさが
 あるんですが、この人の胃はこれくらいしかありません』だとよ」
 親指と人差指で輪をつくった。

「『数日間、なにも食べてなかったようですね。そのぶん水ばかり
 飲んでたんでしょう、腸が水ぶくれで大きくふやけてます』だってよ。
 それからホリさんが家族に連絡つけようとしたんだが、名前なんて
 芸名だし、連絡先もデタラメでよ、確認しようがねえわけだ」
「で、どうしたんですか?」

      飯場生活15日目12:30-12:40 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00 | コメント (0)

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