2007年08月21日
事故の顛末
翌日も私たちは徳山組の助っ人で、ドブさらいに駆り出された。
ジャイアンツは昨日、満期で飯場を出たはずなのだが、
あっけらからんとした顔でもどっている。
しっかり者の彼のことだ。満期になっても飯場をやめず、
コツコツ貯金でもしているのだろうか。
私はジャイアンツと昼飯を食いながら、赤ら顔の男が
作業の初日、ここで倒れたという話を思い出した。
「ここで倒れた人がいたって聞きましたけど、
赤い顔した人、覚えてますか?」
「ああ、あれかあ!」
ジャイアンツが声をあげたので、なにごとかとまわりが身を乗り出した。
「僕はあの人と同じ日に入ったんですよ」
「ああ、そうなのかい! ほれ、あの落ちたオッサン!」
周囲に声をかけると、だれもがそっくりかえりながら、
「あれにはまいった!」「ほんとだよなあ!」と大声で笑った。
ジャイアンツが事情を話しはじめた。
「あのオッサンよお、朝からフラフラ作業してやがってなあ。
酒が残ってるわけでもねえし、なんだか体調がよくねえらしいんだ。
で、本人に聞いたんだけどな。ほれ、あれ、なんだか変わってんだよな、
水恐怖症ってのかねえ、ありゃあ?」
まわりに聞くと、「おう」「おう」と男たちがうなずく。
「ドブの、そこの、ほれ」
顎をしゃくる。
「膝にも届かねえような水だぜ。あんなもの見ただけで
震えちまってるからよ、『あんた、だいじょうぶかい、休みなよ』って
声かけたんだけどな。『だいじょうぶです』の一本槍でよ!」
「しょうがねえから、『橋の上の作業でもやらしとけ』って
ことになって、ほっといたんだよ。そしたらあれ、
小一時間くらいたったころだよなあ?」
ジャイアンツはまわりを見まわした。
「おう」「おう」と、ふたたび男たちがうなずいた。
飯場生活15日目08:30-12:10 ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 07:00