2007年08月09日
なめられてたまるか
「全部抜きゃええんだ!」
「危ないですよ、この道は。前が見えないから」
「このくらいなんでもねえ!」
今日の出稼ぎ組はとくにうるさい連中だった。
「この車はブレーキが効かないんです。加速も悪いから、
急にスピードも出ないし、追い抜けませんよ」
連中の言い分を聞いて、事故を起こすわけにはいかない。
事故で人生を棒に振った、菅谷や水野にはなりたくない。
こんな応酬が15分もつづくと、バスとの距離も縮まりだした。
徐行からふつうの速度にもどりつつある。
それでも彼らは納得せず、最後には全員で私をけしかけた。
「ごちゃごちゃ言わねえで、さっさといけ! ぶっとばせ!」
怒りがこみあげてきた。こんな連中の子守りはもうたくさんだ。
この車がどれだけひどい車か、わからないのか?
「じゃ、抜きますよ」
今から、わからせてやる。
バスのうしろ、つまり目の前にはまだ車が2台。
まともにとばせる車でも、この狭い道路ではかなり危険だ。
しかし、わがまま放題の連中をこらしめたいという
思いのほうが勝ってしまった。おまえら、肝つぶすなよ。
アクセルを思いきり踏んで追い越しにかかった。
ところが、焦ったのは私のほうだった。実際に無茶な運転を
してこなかったので、これほどひどいとは思わなかったのだ。
いくら踏んでも車は黒鉛を吐くばかりで、車のスピードは
まったくあがらない。1台目さえ抜けず、横に並走したままだ。
そのうち、1台目の車がこちらの異変を察知したのか、
減速したので自動的に追い抜く形になったが、
2台目の車は意地でも抜かせたくないらしく、減速しない。
追いこせず、並走が続く。すると、遠くから
対向車がこちらに向かってくるのが目に入った。
うしろの座席が事態の深刻さを理解して、
緊迫感に包まれるのがわかった。
飯場生活13日目17:30-17:40 ~ To be continued
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