2007年08月06日
第13章 出稼ぎ組との対決 ~きっかけはタバコ1本
「なあ~に、そっちの爺さんに」
「『タバコめぐんでけろ』か?」
「そんだ、そんだ」
「うっとうしいんだよ、さっさと部屋帰れ!」
「い~でねえか、一本だけめぐんでけろ、爺さん」
菅谷は老人を説得しはじめた。
「爺さん、やるなよ、こんなのに! あんた、もうだいぶたかられてんだろ?」
「タバコくらいいいんだよ」
老人の声がした。
「それがだめなんだよ!」
「フフ、いいって」
「おめえにたのんでねえって」
坊主が口を出したので、菅谷が食ってかかった。
「うるせえ! てめえ見てると腹たつんだよ!
『めぐんでけろ、めぐんでけろ』って、てめえ乞食かよ?
それしか言えねえのか、バカ野郎が!」
「へへへ」
「だから、出てけって言ってんだろが!」
「おめえにたのんでねえって」
「うるせえ、この野郎!」
菅谷が立ちあがる気配がした。
重い肉体がドスンとベニア板にぶつかった。
「はじまった! はじまった!」
平松が肩をすくめ、金歯を見せて笑った。
ふたつの肉体がぶつかりあう鈍い音が続いた。
息を殺して揉みあっていたが、苦しそうに坊主が懇願した。
「なんだよ、おらケンカはしねえよ!
しねえって決めたんだ! しねえって!」
ところが、菅谷がやめようとしないので、とうとう坊主は
本気になったらしい。殴りあっているのか、揉みあっているのか
わからないが、こちらの部屋側のベニア板になんどもぶつかり、
板はきしんだ。破ってこちらに倒れこんできそうな勢いだった。
飯場生活11日目20:30-21:00 ~ To be continued
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