[2007年08月] アーカイブ

金がもらえない (8月31日)

 この日でとうとう14日間、勤めあげた。  15日契約なので、明日で満期をむかえられる。 「ようやく明日だね。よくがんば...

人情飯場 (8月30日)

「アンちゃん、このおかず、うまいぞ、食ってみな!」 「すいません」 「おい、こっちに白菜の漬物もあるから、とんなよ!」 ...

第15章 満期日 ~事故 (8月29日)

「どうしたんですか?」 「とうとうポンコツバスが事故を起こしたぜ!」 「えっ?」 「今日、タヌキの現場にむかう途中で、新...

感傷はいらない (8月28日)

翌日も一輪車を引いて歩く作業が続いた。容赦なく照りつける 太陽にあえぎながら土手を進むと、フェンスで囲まれた建物があった...

老土工と若者 (8月27日)

 尾形は額の傷に脱脂綿を貼っていたが、今日は絆創膏だけである。  その絆創膏を顔をしかめたまま、ベリッとはずしてしまった...

アウトロー (8月25日)

翌日はこれまでに土手にあげた土砂、石、ゴミなどを、 スコップですくい、ベルトコンベアーに載せる作業である。 コンベアーは...

病人、どつかれる (8月24日)

 ジャイアンツはヒヒヒ、と髭面に歯をむきだして笑った。 「かわいそうだけど、しょうがねえから、医者や看護婦の  目を盗ん...

救急車を呼ぶな (8月23日)

「あのときはここのオヤジがひでえこと言ったもんだぜ」  ジャイアンツはオヤジを一瞥した。  オヤジは三木と談笑している。...

ドブに落ちた巨漢 (8月22日)

「橋の上からオッサンがドボーン!」  ジャイアンツは胡坐をかいたまま、  手をバンザイの形にして前にかがみこんだ。 「こ...

事故の顛末 (8月21日)

翌日も私たちは徳山組の助っ人で、ドブさらいに駆り出された。 ジャイアンツは昨日、満期で飯場を出たはずなのだが、 あっけら...

移籍交渉 (8月20日)

「刺し身なんかも?」 「ときどきだね」 「そうですか。寺本はそんなことないですよ」 「あ、そうなの?」 「卵に納豆だとか...

第14章 老境 ~向こう傷の男 (8月18日)

尾形老人の年恰好は伊藤や三木とおなじくらいだが、 好々爺の雰囲気のある伊藤や、殻にこもった三木とは まったくちがうタイプ...

汚水まみれ (8月17日)

泥を上げながら下流に進むと、低い橋についた。 橋の下の作業は頭をコンクリートにぶつけそうだったので ヘルメットをかぶり、...

ご機嫌の満期日 (8月14日)

これまでの現場と違い、雇われ先に怒鳴られることもなく、 終始、なごやかに作業は進んでいた。スコップで泥やゴミを 土手に放...

ドブさらい (8月13日)

翌日はほかの現場へまわされた。昨日の一件が 堀内の耳に入ったのだろうか。だが、ほかの理由かもしれない。 土工は満期が近づ...

制圧 (8月11日)

車は、急に減速できないものだ。慎重にブレーキを踏みながら、 バスのボディはこんなに長いものなのか、と思った。 何度かに分...

カースタント (8月10日)

2台目とバスとの車間距離はわずか1メートル程度で、 割りこみできそうにない。どうすればいいんだ。 焦るな。ヤツらにびびっ...

なめられてたまるか (8月 9日)

「全部抜きゃええんだ!」 「危ないですよ、この道は。前が見えないから」 「このくらいなんでもねえ!」  今日の出稼ぎ組は...

出稼ぎ組の挑発 (8月 8日)

休み明けはふたたびタヌキの現場である。 この日は5人乗りのバンの運転だった。私がエンストさせた ポンコツバスは平松が運転...

罰掃除 (8月 7日)

 板の木目が、人間のたれ目のように見えた。 「やめろよ……」  老人の消え入りそうな声がむこうから聞こえてくる。  もつ...

第13章 出稼ぎ組との対決 ~きっかけはタバコ1本 (8月 6日)

「なあ~に、そっちの爺さんに」 「『タバコめぐんでけろ』か?」 「そんだ、そんだ」 「うっとうしいんだよ、さっさと部屋帰...

ろくでなしコンビ (8月 4日)

 平松が仕事からもどり、晩飯から2時間もたったころである。  そとに酒を飲みに行った数人の土工たちが帰ってきた。  かな...

狂犬の死 (8月 3日)

「それからはもう恐ろしいやら頭にくるやらで、  カーッとなって、わめきちらしたよ。  『てめえ、殺すなら殺してみやがれ、...

月夜の襲撃 (8月 2日)

「俺はヤツより古いんだが、ずっと同部屋にさせられてた。  最初の頃はほっといたんだ。いつも物騒なもん、持ってるしな。  ...

狂犬 (8月 1日)

盆休みの2日目。私たちはふたたび、朝飯を食ってから 酒を飲みはじめた。連日の肉体労働に耐えてきた身には 何日休んでも休み...