2007年07月21日
朝から宴会
飯場の1階からまわりはじめたが、半分以上の土工たちは
家に帰っているうえに、ほかの男たちは朝から酒を
買いに行ったらしく、だれも見あたらない。
2階にまわると10人部屋ですでに酒盛りがはじまっていて、
酔っぱらいの大声が聞こえてきた。
「食堂のオヤジ、『大学出てる』なんて言っちゃいるがよ。
ほんとは大学どころか、高校も出ちゃいねえぜ、あれ!」
「あたりめえじゃねえか、あんなもん!」
「どうでもいいじゃねえか、じじいのことなんか」
「よかねえよ! オレたちゃ、あんなのに年がら年じゅう、
、『いけません君たち! やめなさい君たち!』なんて言われてよ!」
誰かがオカマ口調で物真似をすると、プレハブを
ゆるがすような笑いが起きた。部屋をのぞくと、
車座になった5~6人の男たちの顔がほころんでいた。
「お疲れです」
頭をさげて事情を説明しようとした。
すると昨夜、さんざん私を怒鳴った土工が声を張り上げた。
「お、アンちゃん! おめえも一杯やってけ!」
ほかの男たちも続いた。
「おう入れ、入れ!」
「いえ、あの、下で飲んでるんですけど、タヌキが金を」
言いかけた言葉は大声でけされてしまった。
「おう! こっちもやってるよ! 下の連中にも上がって来いって言え!」
「おう、そうだ、そうだ! 連れてこい!」
昨夜、帰りの車で私を怒鳴り、悪態をついた連中が、
あれから半日たったばかりなのに、もうすっかり上機嫌で、
昨日のことなど忘れて酔っ払っていた。
なんだか拍子抜けしてしまった。
彼らはカッとなるのも早いが、忘れてしまうのも早いのだ。
ただ、瞬間、瞬間に感情を露(あらわ)にするだけで、
その態度をいつまでも気にする必要はないのだ、と知った。
飯場生活10日目08:00-08:20 ~ To be continued
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