2007年06月22日

歓迎会

 堀内がいなくなると、私は声をひそめて三崎に聞いた。
「実は今朝、満期で出た平松さんって人から、2人で飲んでくれって
 言われて2000円もらってるんです。三崎さんもどうですか?」
「三崎さんの歓迎会もかねて」
 麻井も言う。

「お、いいのかい? ありがてえなあ!」
 彼は満面の笑みを浮かべた。
「酒、買いに行ってもだいじょうぶですかね?」
「なあに、こっそり持ちこむのはみんなやってるからな。
 派手にやらなきゃだいじょうぶだよ」
「じゃ、僕、行ってきます!」

私は飯場をこっそり抜け出した。車の運転で酒屋は遠くから近所まで、
数ケ所覚えている。それにしても、初対面の挨拶もそこそこに、
親しい雰囲気を作れる三崎はさすがに飯場の古株である。

歩いて10分ほどの酒屋で、ビールとひまわりの種を買い、
飯場の門をくぐると、早足になって部屋にとびこんだ。
三崎が「だいじょうぶだ」と言っても、新米の私が酒を買いに行ったのを
見つかった場合、どんな罰が待っているか、わかったものではない。
信用しないわけではないが、いざとなって彼らが知らん顔したところで
文句は言えない。それが新入りの立場であり、飯場なのだ。
私は幸運にもだれにも見つからずに済んだ。

「2日前に満期になったんだけど、全部競馬で使っちまってさ!
 いつもそうさ、ハハハ! ギャンブルなんてよくないって思いながら
 やるんだから、いよいよ俺もタチが悪いよな!
 これで満期まで10日かあ、長えなーあ!」
 三崎は自分で45歳だと言ったが、10は若く見える。
 40歳でも50歳の落ちつきを感じさせる平松とは対照的で、
 すぐに酔い、あけっぴろげな笑い声をあげた。

      飯場生活7日目19:00-20:00  ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 10:18 | コメント (0)

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