2007年06月15日

下っ端の困惑

「あいつら生意気だろ?」
 見ぬかれていた。苦笑するしかなかった。
「はい……」
「高校出たばっかだってよ。バカにしやがってな」
 しかし、憎しみのこもった口調ではなかった。ダンディ熊沢は
 ハイライトをとりだして、金の安物ライターで火をつけた。
 ガスを注入するライターなど、飯場でほかに使う者はいない。

「今日もバン(の運転)だったろ?」
「はい」
「あれ、黒ちゃん(黒谷)が言ってくれたからだぞ」
「……そうだったんですか」
「お礼言っとけよ」
「はい」
「黒ちゃんはいい人だよ。あの人はいつも言ってるよ、
『若い人だからこそ、気使ってやらなきゃならないんだ』って」
「そうですか……」

困ったことになった。心配してもらうのはありがたいが、
こっちは頼んでいない。私がラクをするぶん、平松やほかの運転手に
迷惑をかけてしまう。そのことが、申し訳なくもあるし、相手によっては
恨みを買われかねない。こんなことが続けば、黒谷が自分でも言うような、
土工の平等、という考えにも反してしまうはずだ。
若いから、経験がないからといって、甘えるつもりはなかった。

 ダンディはサングラスをかけ、地面を焦がす太陽を見あげた。
「ああ……」
 彼はいちいち芝居じみた動作をする。
「アンちゃんはまだ運がいいよ」
「そうですね」
「いや、車のことを言ってるんじゃねえんだ」
 なにを言い出すのか。
「昔はひどかったもんだよ、うちの飯場も……」
 ぼそっと言った。

      飯場生活6日目12:20-12:40  ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 10:55 | コメント (2)

コメント

表題の下っ端の困惑って引かれたぞ(^-^)

投稿者 ゆり坊 : 2007年06月16日 01:57

ゆり坊さんへ

コメントありがとうございます。
同じコメントが4回重複していたので(笑)、
3回分は削除しておきましたよ。
そうかあ、やっぱりタイトルは大事ですね。

ところで、新登場のダンディ熊沢、いいキャラだと思いません?
実際会ってみると、おもしろいんだから!

投稿者 ナポリタカオ : 2007年06月16日 11:27