2007年06月10日
熱い信念
黒谷は話題をかえた。
「君はいくつ?」
「19です」
「おう、若いねえ!」
「黒谷さんはおいくつなんですか?」
妙にかしこまった話しかたで、自分でもへんな気がした。
「俺かい? へへ、いくつに見える?」
「そうですね」
運転しながら、ちらっと黒谷を見た。
「35くらいですか?」
黒谷は助手席でズルッと、大げさにこけるポーズをした。
「ウハハ、50近いよ」
「え、ほんとですか?」
「若く見えるだろ、俺」
「はい」
黒谷は大きな口から白い歯を見せて、うれしそうに笑った。
清潔にしているのか、タバコを吸わないのか、
ほかの男たちのように歯がヤニまみれではない。
彼はふいに真面目な顔で言った。
「俺はね、新しい人をいじめたりするような、昔からの風習が
大きらいなんだ。ここで働くヤツにとっては
古いも新しいもないはずだよ」
言葉を切った。次の言葉を考えているのか。
相槌を待っているのか。私はだまって聞いた。
語り口はもっと熱くなった。
「みんな金に困ってるんだ。金が欲しくてここに来てるんだ。
そういう日雇い労働者に、みんな変わりないはずだよ。
条件だってみんなおなじだろ? だから新入りをいじめて
いいなんてことは絶対にないんだよ!」
私は突然、熱く語りはじめた黒谷にあっけにとられてしまい、
うんともすんとも言えないでいた。
飯場生活5日目17:30-18:00 ~ To be continued
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