2007年05月11日
妙技
ふたたび掘りはじめたものの、やはり、カチン! カチン! と
刃先が当たるばかりで、スコップは硬い大地に阻まれる。
「やっぱり掘れんです」
ベテランがタヌキに言う。
「つべこべ言うな!」
「でも掘れんです」
「それなら、線の外からでかく掘れ!」
タヌキは憮然として行ってしまった。私たちはしばらく手を止めた。
ベテランはため息をつき、パーマの遊び人はチッ! と舌打ちした。
タヌキは数十メートル先で、ほかの土工たちに
「バカ野郎!」と怒鳴りはじめた。
私達はかなり大きく外側から掘りはじめた。
4人の男が数十分も掘って、ようやく木の株が現れたので取り除く。
それから縦に穴を掘っていく。もう頭がぼんやりしてきた。
朝とはいえ、真夏の太陽である。
まだ朝の9時だというのに汗が吹き出してきた。
だれもがさぼってひと息つきたい様子だったが、
ここは見晴らしがよすぎて、さぼれないのだ。
タヌキはこちらに背をむけて、ほかの作業班に
罵声を浴びせているが、突然、絶妙のタイミングで
くるっと振りかえるのである。そして、また怒鳴る。
「なにやってんだ、てめえらっ! このバカ野郎!」
ボキャブラリーには乏しい男だった。
眼の端でタヌキを追いながらスコップを使っていると、
彼はようやく切り立った山の死角に消えた。
全員が申しあわせたように、ぴたりと作業を中断した。
おなじことを考えていたのだった。
ガシャーン! パーマがいまいましげに
スコップを2メートルほど先に放り投げた。
「くそったれが!」
飯場生活2日目08:30-09:10 ~ To be continued
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コメント
やさぐれ男たちですね~。恐い。
うち、庭なんてないですよ~。メゾンです。
半マンション(マンション未満?)とでも言いましょうか。
投稿者 ゆるり : 2007年05月11日 23:09
ゆるりさんへ
コメントありがとうございます。
「やさぐれ男」! いいですね~
さすが、ボキャブラリー豊富なゆるりさん。
どこか、いい場面で使わせていただきます。
この言葉も最近聞かなくなりましたね~しみじみ。
あ、オヤジギャグでこんなのありましたね。
しじみとしみじみ……失礼しました!
投稿者 ナポリタカオ : 2007年05月12日 10:12