2007年05月08日

巨大な現場

寺元建設の土工達は駐車場の奥に向かうので、流れにしたがった。
私は新入りなので、見知らぬ男とすれちがうたびに、
挨拶しなければいけないのだろうと思い、試みた。
「おはようございます」
挨拶を返す者はだれもいなかった。
ベルトコンベアーで流れる機械の部品同士が
すれちがっているだけのような無機質さを感じた。

突然、山が真ん中から巨大な斧でまっぷたつに
裂かれたような景観があらわれた。灌漑工事がおこなわれているように
見えるが、そこに川はなく巨大なプールの形状をしている。
深さ200メートル、縦幅500メートル、横幅は200メートルくらいあったろうか。
側面のところどころに四角形のパネルがはめこまれている。
これはなんの工事なのだろう。

やがて駐車場にバンやバスが次々と入ってきて、
停車すると、多くの土工達が吐きだされた。
ほかの飯場からもかなりの数が集められているようだ。
5人1組で20組ほどもあるだろうか。

日よけの頬被りをした60代の女も混じっていた。

決まった持ち場があるらしく、だれかに指示される
こともなく、てきぱきと決まった作業場へむかっていく。
鳶職は水の張っていない水路の高い足場を登りはじめ、
側面の作業班は作業途中のパネルにむかう。
ボスの伊藤老人が鳶職だと知ったのはこのときだ。
彼はほかの現場の土工に混じって、水路の高い足場へ向かった。

しかし、そのほかの寺本建設の土工達には決まった分担がなかった。
集合場所は決まっているらしく、けだるい足取りでぶらぶらと
水路の底へ降りて行く。その後ろ姿はさっき見たプロ集団とは違うものだった。
私もそのあとにつづいたとき、1人の男が
駐車場を振りかえって、「あ」と声をあげた。

      飯場生活2日目07:50-08:00  ~ To be continued
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投稿者 Napori Takao : 09:18 | コメント (0)

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