2007年05月01日
第4章 罵倒と独裁者 ~飯場自動車教習所
フロントガラスからは、高く設置された信号機の
頭しか見えない。一気に走り抜けてしまいたかったが、
信号は赤に変わってしまった。
くそっ。私は車を停車させた。
サイドブレーキを引いたが、これもろくに効かず、
坂をずり落ちていくので、あわてて深くペダルを踏む。
もう、へとへとだ。
教習所を卒業して最初に運転するのが、こんなポンコツだとは。
この急勾配で13人の男の体重がかかっていて、
ブレーキが効かなければ、坂道発進の難易度はかなり高い。
思い切りスタートしなければ落ちてしまう。
うまくいってくれ、頼む!
緊張で心臓が喉にせりあがってくるようだ。
信号が変わった。私はバスをスタートさせた。
そのとたん、エンストが起きた。ガクン! と車体が大きく揺れ、
ジェットコースターが転落するような感覚で、
背後に1メートルも落ちた。悪寒が走った。
「うわっ!」
男達が恐怖の呻きをあげた。あわててブレーキを踏みこむ。
バックミラーを見ると、幸いにも後続車はいなかった。
「バカ野郎!」
複数の容赦ない怒鳴り声が背中に浴びせられた。
「早ぐ、行ってまれ(しまえ)!」
ほかの土工達も東北出身が多いらしく、伊藤のように訛も強いので、
話している言葉が聞きとれないが、なにやら方言で
私にさまざまな罵声を浴びせているらしいことはわかった。
「すいません!」
私はフロントガラスにむかってぺこぺこした。
飯場生活2日目07:10-07:20 ~ To be continued
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青森のみなさん、ごめんなさい。物語のなかでは、青森出身の登場人物が
あまり好意的な反応をしていませんが、この物語の役回りにおいて
たまたまそうだった、というだけです。ご理解いただければと思います。
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