2007年04月24日
ジャイアンツとサイボーグ老人
Tシャツに古着のボロジーンズを身につけた私は、
服装だけはこの集団にとけこめたようで、昨夜のように
周囲から圧迫感のある視線は受けなかった。
落ち着いたところで周囲を観察してみた。
土工達は2、3人単位で行動をともにしている。
同室、おなじ現場、年齢の近い者という組みあわせのようだ。
彼らは飯を食いながら自分の名前をさがしていたが、
あてがはずれた者は、「あーあ、またかよ」と、ぼやき、
ラクな現場にありついた者は遠慮がちにほくそ笑んでいた。
あからさまに喜ぶのは非礼なのだろう。
「うわっ古島かあ、まいったなあ!」
突然、すっとんきょうな声が響いた。
振りかえると、黒地にオレンジ色のマークのついた
ジャイアンツの野球帽を被った、50歳前後のゴマ髭男がいた。
彼はボードをながめたまま頭を抱えてうしろにのけぞり、
仲間の笑いを誘っていた。この飯場で初めて
屈託のない笑顔を目にして、私はほっとした。
その集団の横には、対照的にひとりで飯を食っている老人がいた。
70歳前後だろうか、きれいな角刈りの頭は真っ白である。
Tシャツを通してうかがえる肉体は若いボクサーのように精悍で、
白髪をのぞけば、20代にしか見えないだろう。
だが、陰気な目でボードをながめ、口だけを静かに動かしている。
その姿は感情のないサイボーグを思わせた。
おなじ現場で顔見知りになっている者達は、朝の挨拶や
「今日はどこ?」などと声をかけあっていて、
平松も数人から声をかけられたのだが、
サイボーグ老人にはだれひとり、声をかけなかった。
飯を食い、自分の現場を確認したら、あとの者のために
さっさと食堂を出るのがしきたりらしい。
ここではなんでも急かされる。早々に部屋へもどると、
私は昨夜から感じていた疑問を、平松にぶつけてみた。
飯場生活2日目05:40-05:50 ~ To be continued
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コメント
謎のサイボーグ老人、何者なのでしょうか?緊張してきました~。続きが気になります。
投稿者 ゆるり : 2007年04月24日 23:43
ゆるりさんへ
コメントありがとうございます。
サイボーグ老人、ほんとにいたんですよ~
20歳くらいの体に老人の首が乗ってるので、異様な感じです。
あ、読者のみなさん、ゆるりさんは「オガワくん」という猫?
との日々をブログに書いてらっしゃる方です。
おもしろいので、よかったらどうぞ~
左サイドーバーのリンク「うつけもん」です。
投稿者 ナポリタカオ : 2007年04月25日 11:02
ナポリさんてワリと、登場人物にボロジーンズはかすの好きなじゃないですか?土工さんは硫黄島からの手紙の兵隊さん達みたいに必死な気がします。
投稿者 アーサ : 2007年04月25日 12:16
アーサさんへ
コメントありがとうございます。
これがリアルなんですよ~
飯場では30代まではほぼジーンズでした。
その上の世代はスラックスか、アーサさんのおっしゃるように、
日課牧歌(正・ニッカボッカ~変換ミスですがおもしろいので)でしたね~
毎日洗濯するので、ジーンズは強いし、重宝しましたよ。
もちろん、今流行のダメージジーンズじゃ、ほんとにダメダメですけど。
投稿者 ナポリタカオ : 2007年04月25日 15:55