[2007年04月] アーカイブ
言葉のハンデ (4月30日)
「右じゃないんですか?」 「ちがう!」 「……すいません」 聞き違いかもしれない。とりあえず、あやまった。 ところが...
車はボロボロ (4月28日)
定員オーバーで、しかも重量のある男ばかりが乗って、 車は動くのだろうか。が、問題はそれだけではなかった。 ギアを入れたが...
新入りと若手の立場 (4月27日)
新入りの私は最後に呼ばれるのだろう。答えかたはどうしようか。 新入りで、しかも19歳の若造が「オッス!」「へイ!」もどう...
エンターテイナー (4月26日)
駐車場に堀内が待っていた。 「ああ、あれ」 私を見つけると、青いポンコツのバスに顎をしゃくる。 「あの車だからたのむ...
バスの運転 (4月25日)
「あの、平松さん」 「なんだい?」 「僕、どの車を運転するんですか?」 「あれだろ、10人乗りのバスだろうな」 彼はさ...
ジャイアンツとサイボーグ老人 (4月24日)
Tシャツに古着のボロジーンズを身につけた私は、 服装だけはこの集団にとけこめたようで、昨夜のように 周囲から圧迫感のある...
現場の割り振り (4月23日)
朝食は卵、納豆、海苔だけだった。朝の5時に飯を食ったことなどない。 ずっと続いた緊張で胃がもたれ、食欲がわかなかった。 ...
けたたましい起床ベル (4月21日)
ジリジリジリジリ、ジリジリジリジリ! けたたましい起床のベルに私は飛び起きた。 枕の下から腕時計をだして確認すると、5時...
第3章 土方の掟 ~不気味な男 (4月20日)
平松と麻井は顔面に苦痛を浮かべて眠っていた。 2人のいびき、歯ぎしりは音程を変えて、ずっと続いている。 寝苦しい私は、ふ...
月夜の簡易トイレ (4月19日)
だれかが掃除しているのだろう。 敷地内にゴミが落ちていることはなく、清潔だった。 建物と離れて汲みとり式の簡易トイレが3...
いびきと歯ぎしり (4月18日)
急に会話がとぎれた、と思ったら、平松のいびきが聞こえた。 追いかけるように麻井のいびきも響いた。 彼らは眠気をこらえて、...
同部屋の3人 (4月17日)
8月上旬の扇風機ひとつないプレハブの部屋。 出入口のドアには網戸がないので、 蚋(ぶよ)が入ってこないように、夕方から閉...
風呂場は大混雑 (4月16日)
挨拶もそこそこに、平松があわただしく私をせかした。 「じゃ、風呂行こうか」 どうしてそんなに急ぐのだろう。 あわててつ...
300円のジーンズ (4月14日)
2人きりになった。 麻井は会話のタイミングをはかっているようだが、 新入りがあまりにも若いせいか、面食らっているようだ。...
黒い布団 (4月13日)
麻井さん、と呼ばれた男は、奥の布団で寝転がって テレビを見ていたが、声をかけられてとびおきた。 Tシャツと短パン姿だ。3...
新入りの挨拶 (4月12日)
私は堀内に連れられて、自分の部屋へ向かった。 「作業着は持ってきたかい?」 「あ、持ってきませんでした」 「ああ、いいや...
飯場の流儀 (4月11日)
緊張のためか、口に入れたカレーの味がまったくわからなかった。 モソモソした食感のものを飲み込んでいるだけだ。 食い終わら...
第2章 男だけの世界 ~殺伐とした食堂 (4月10日)
いつの間にか、食堂に入る男達の数が増していた。 彼らはみな、赤黒く日焼けして、汗と泥にまみれたシャツのままだった。 腹を...
契約変更 (4月 9日)
今から振り返ってみると、その反応は私のうしろに立っていた 赤ら顔の浮浪者に向けられた感情も多少はまじっていたかもしれない...
人間の要塞 (4月 7日)
心の準備をする余裕もないまま、車で5分ほどの飯場についた。 アスファルトで舗装された敷地に入る。2階建のプレハブだったが...
逃走願望 (4月 6日)
電車のなかで私は水野の近くに立ったが、 水野は赤ら顔の男と2メートルほど距離をとった。 表情はおだやかそうだが、視線をあ...
浮浪者とともに (4月 5日)
連れてこられたのは浮浪者だった。 五十代半ばくらいだろうか。赤ら顔に白髪混じりの無精髭。 何年間も着こんだような紺の背広...
強引な面接 (4月 4日)
レースが終わった。寿司職人の馬券ははずれたようだ。 興奮の余韻で顔にまだらな紅潮を浮かべながら、 寿司職人がもどってきた...
ドアのむこうへ (4月 3日)
そこは雑居ビルの五階だった。 排気ガスが混じった風が下からふきあげてくる。 吸い込むと、肺はじとじとしてくるようで、ます...
歓迎されざる若者 (4月 2日)
が、電話のむこうから聞こえてきたのは明るく、高い声だった。 「はい、寺本建設!」 「新聞の募集を見たんですけど」 「あ...