2007年03月09日
隣人愛(3)
なぜだ? 地面を勝手に布団バサミが動きまわったのか。
それはそれで気持ち悪いが、見てみたい気もする。
だが現実的に考えてみれば、105号室にちょうど住人がいて、
落ちた布団バサミにすぐに気づき、104号室のほうに投げたのだ。
あるいはたまたまこの時間、そとに出たらあったので、
「お宅のですか?」と、となりに置いたのか。
ともかく、お願いする人が105から104号室の
居住者に変わったことだけはたしかだ。
すぐに動かなければ。
同じことがまた起きたら、今度は103、102というように
どんどん移動してしまって、
誰にお願いしていいかわからなくなってしまう!
スムーズにはしの101までまわり、その人が
外にほうりだしてくれれば、待っているだけでいいけれど、
そううまくコトは運ばないだろう。
途中から逆回りになったりして、あわれな布団バサミは、
いつまでも中庭をいったりきたりする羽目になるかもしれない。
N氏は急いで104号室のポストに手紙を入れた。
そして待った……願いは叶えられるだろうか。
翌朝。
ポストの口から……布団バサミが出ている!
あった! ひろってくれたんだ! ああ、いい人でよかった……
部屋へもどって、ふと考える。
お礼をしなければいけないだろうか。
やっぱりそうだよな。手をわずらわせちゃったわけだし。
相手が男か女か、年齢さえもわからない。
あまり金額が高くても気味悪がられるだろうし、
こっちももったいないし、と千円程度のチョコレートをデパ地下で買い、
「拾っていただきまして、ありがとうございました。
たいしたものでなくて、恐縮ですが……」
などと書いたお礼の手紙とともに、104号室のポストに入れた……
To be continued
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