2007年01月04日

コーヒー試飲の攻防(1)

12月のある夕方。N氏は取材帰りに東京都内のあるドトールに入った。
ここも1人で本を読んだり、メモをとったりする客が目立つ。
N氏はソイラテを手にカウンター席へすわり、
いつものように新聞を取り出して、間抜けなあくびをしながら読みはじめた。
そのときだ。

視界の右端から声がした。
「ただ今、コーヒー豆の試飲ができますが、
 よろしかったら、いかがですか?」

トレンチに試飲用の紙コップを載せている従業員が見える。
中腰でおだやかな表情をつくり、顧客に勧めているではないか。
声をかけられた女性は思いがけないプレゼントに喜んで答えた。
「あ、そーなんですか。はい、いただきます」

チャンス!
なんだかわからないけど、今日は試飲させてもらえるんだ。
N氏の胸はときめいた。

その客が終わると、今度はとなりの客に勧めている。
「3年寝かせた豆でして……」
「ふつうではない豆でして……」
というフレーズに、つい耳をそばだててしまうN氏。
まわってくる、まわってくる、ふふふ、
オレにもまわってくるぞ! 早く来ないかな。

従業員は1度カウンターのなかにもどった。
すぐに新しいコーヒーを持って出てくると、今度は店内を見渡す。
あっちのお客さんは行ったから、こっちだな。
そんなふうに考えているのだろう。
そうだよ、そろそろこっちだよ。
そして彼はN氏のほうに近づいてきた!

                        To be continued
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投稿者 Napori Takao : 09:00