2007年01月29日

日曜のスーパーで10:00(3)

「ほんとに150円だったらどうすんだよ」
 坊主頭はまだグズグズ悪たれている。
「いえ、まちがいございませんので。申し訳ありません……」
レジの女性は笑顔で精一杯とりつくろった。

こうして、すべてが無事に終わりそうに思えたときだ。
「お会計2400円です」
また男は大声をあげた。
「えっ?! 2400円?! そんなにいくのかー?! おかしいじゃねえかよ!」

 どこまで貧乏なんだ、この男は。
 レジの女性は一生懸命説明する。
「いえ、でもほんとうなんです」
 レシートを広げて見せる。

「これが1850円なので……」
 彼女が示した商品は、4リットル入りの焼酎ボトルであった。
 取っ手のついたお徳用のやつである。

「これが1850円?!」
 血走った目で悔しそうに歯ぎしりする坊主頭。

「すみません……」
 女性がダメ押しをする。
「わかったよ!」
 さすがに観念したらしく、坊主頭はなけなしの小銭を
 ポケットから全部出し、ジャラジャラとレジの皿に広げた。
 10円玉から5円玉まである。
「2320、2325、2340、2350、2360、2370、2380、2390、2400!
これで全部だな! あるな! たしかに!」

「はい! たしかに!」
女性はビクビクして頭を下げ、言った。
「ありがとうございました! あの、レシートは?」
「いらねえ!」
 完敗した男は肩をいからせて、大股でそとへ出ていった。
 彼の安モノのジャージの肩に
 風に舞った粉雪が曲線を描きながら落ちてきた。

                         The End
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投稿者 Napori Takao : 10:53 | コメント (0)

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