2006年12月12日
帰らせたくない女と帰りたい男(2)
この話は前作(1)から続いています。
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B君はしらけた空気に気づいて、話題を変えた。
「A子さん、いつも何時に起きてるんですか?」
「私? 8時くらいかな」
「結婚してる人って、もっと早いんじゃないすか?」
「私はかけもちで、いろやってるから、なかなか起きられなくってさ~
早く起きるように、いつも練習してるんだけど」
「練習!」とB君は笑い、つけ加える。
「僕は5時半じゃないと間にあいませんよ」
「へえ~」
しんみりするふたりに別れの時間が近づく。
「……パートの○○さん、1カ月で辞めちゃったね~」
「定着しませんよね」
「なんでなのかなぁ~」
「それはやっぱり、みんないろいろあるんじゃないすかね、
給料とか、仕事きついとか。あ、そうだ、A子さん!」
「なに?」と期待の目を輝かす女。
「A子さん、給料いくらもらってるんですか?」
「(がっかり)……そんなこと言えないも~ん」
そのあと、ふたりの給料は所得税を引かれると、
17~19万円であることが判明する。
男、ふたたびそわそわ。帰りたい。
「(とりあわずに)××さん、さびしがると思うよ~」
「ああ……今日も会社に帰ってくると思って待ってたんですけど、
直帰だったみたいですね」
「さびしがると思うよ~、B君のこと、あれだけかわいがってたのに」
「そうですね……そのうち、あいさつしなくちゃいけないですね」
「さびしがると思うよ~」
お前がだろ。
女の横顔はどんどん翳る。
「あ、そろそろ行かなきゃ」
「ああ、わかった……私も出る」
B子、A君が慌てて店を出るその背中に、声をかけた。
「私は今日はいいんだけどなぁ~、ダンナも遅いから一人なんだ~」
「あ、そうなんすか~」
A君は軽く受け流した。
枯葉舞う、駅前のドトールはもうすぐ20:00。
The End
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投稿者 Napori Takao : 11:10