2006年10月20日

分身

引越したアパートの1階は、奇遇にもまたピザ屋だった。
2階だったのでチーズの強烈な匂いにはうんざりしたけれど、
建物は天井の壁が厚いため、昼間なら楽器を持ち込んでセッションができた。
私のアパートにはいろんな友人が出入りするようになった。

「あまり多くの友達を部屋に入れないほうがいいよ。泥棒に入られたりするから」
アメリカ人の友人からこんな忠告を受け、のちにそのとおりになったが、
それはもう少しあとの話にまわそう。

この時期から大学外での活動も急激に忙しくなった。昼間は大学生活のあとで
2~3時間、日本食レストランでアルバイト。夜はバンドの仕事をした。
日本人2人、白人2人、黒人2人でバンドをつくり、黒人の町で
演奏した時期もある。客は紳士だったが、誰もがコートやズボンの後ろポケットに
護身用の銃を入れて酒を飲んでいた。

ここでは夜中の2時まで演奏するので、私はピアノを弾きながら、
居眠りをしてしまうこともあり、よく客に笑われた。
大学、アルバイト、バンドの毎日で、平均睡眠時間が2~3時間になり、
慢性的な睡眠不足と疲労をかかえるようになった。

そんなある日のことだ。とても疲れていた私は部屋に帰ってくると、
カウチですぐに眠り込んでしまった。耳鳴りがした、と思ったら、
いつものように幽体離脱をして、私は天井にいた。
私は眠っている自分を見ていた。しかし、今度はなにかが違った。

どこからか音が聞こえる。でも、部屋には誰もいないし、
ほかの気配もない。なのに音だけが聞こえる。
どういうことなのだろう。パタパタとキッチンに行くサンダルの音。
包丁でコトコトやったり、冷蔵庫やドアを開けたりする音。

なんにも見えないけど、だれか来てるのかな……
ふと気がついた。あれは自分がいつも履いているサンダルの音だ。
音の主は自分なの? じゃ、あそこで寝ている自分は?
天井の自分は? 音をたてている自分は?
そのうち、眺めている天井の自分からなにかのエネルギー体が
ふわっと外に出ていく感覚があった。

                   To be continued
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投稿者 Napori Takao : 11:03 | コメント (2)

コメント

エッ、もう一人の自分ですか、なんだか解かんなくなりますね。

投稿者 団塊世代が心と身体とお金の健康を考える!by ヤスオ : 2006年10月21日 00:01

ヤスオさんへ

コメントありがとうございます。
たぶん、「なんだかわからない」のが、ふつうの感覚だと思いますよ~

投稿者 ナポリタカオ : 2006年10月21日 10:45