2006年10月17日
謎の蒼い光
私は体を起こして、彼らが座っているカウチを見た。
たった今、電話が鳴ったらしく、Kの彼氏が
「ハロー、どなた?」とくりかえしている。
「だれ? いたずら電話?」
Kが彼にたずねる。
「Axxhole !」
つぶやいてKが受話器をもどした。
「なんだろう。受話器をとったけど、すぐに切れた。
こんな夜中に電話してくるヤツはいったいだれだ?」
ふたりは私が放心状態でいるのに気づいた。
「どうしたの?」
私はさっきの出来事について話したが、彼らにはまったく理解できない
ようだった。たしかにそうかもしれない。カウチで寝ていた、
もうひとりの自分には特別、変わったところはなかったのだから。
ただ、私が「逃げろ!」という声、鐘を鳴らす音を聞いたときと、
電話のベルが鳴ったのは、ほぼ同時刻だったらしい。恐怖の体験は、
とてつもなく長い時間に感じたけれど、時計を見るとたったの数分だった。
ラジオからはソニークラーク(ジャズピアニスト)の「Two Base Hit」が流れ、
何事もおきなかったような、ゆったりとした時間が流れていた。
しかし、その日を境に不可解な電話がかかるようになった。
私がベッドに入り、うたた寝をはじめると電話が鳴りはじめる。
電話を取ると、発信音だけが響いている。呼びかけても、相手は答えない。
電話を切ってしばらくするとまた鳴りだした。
そのうち、電話だけではすまなくなった。
ある晩、深夜2時半くらいだった。寝ていると、とつぜん胸の上あたりを
強く押される感覚があった。首を絞められているようだ。
あまりの苦しさに起きた。汗をかいていた。
ふと気になって、視線を部屋の隅に向ける。
蒼い光が2つ、ならんで浮いていた。
風船くらいの大きさだ。
なんだろう……そのまま光は消えた。
数日後、ふたたび押される感覚に襲われて目を覚ました。
前に見た蒼い光かと思い、気配がするほうに目を向けると、
光は人間に変わっていた。
白人の老夫婦だ。はなれたところから私をじっと見ている。
なんなんだろう……
さびしそうな顔ではない。でも、なにかを伝えたがっているようだ。
不動産屋は彼らを知っているのではないか……
私は翌日、話を聞いてみることにした。
To be continued
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