2006年07月08日
絵皿が招く魔界(2)
この話は前作(1)から続いています。
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となりの席には50代と見えるの夫婦がすわっていた。
「あ、また絵皿とっちゃったよ」
「まあ、たまにはいいんじゃない?」
などという会話が、男に圧力をかける。
夫婦が積み上げている皿は、白、青、赤(これがいちばん安い)、
金模様の絵皿など、とてもカラフルだ。
しかし、男の目の前には白い段々が上へ伸びていくばかりで、
まるで、しらけた高層マンションの建設現場を思わせた。
そのうち、妻が男の皿に目をやった。
その視線がさらに重圧をかける。
(あらイヤだ、この人、白いお皿ばっかり食べてるわ……)
と言っているように、見えてくる。
(もうダメだ!)
男の忍耐はとうとうピークに達した。
まわるほかの皿に手をぶつける勢いで、
金模様の絵皿の載ったウニを手にとり、むしゃぶりついた。
よりによって、ウニである。
それを口火に、男はもはや正気を失い、どんどん絵皿に手を伸ばしていった。
しかし、横顔からは血の気が引いていた。
そばで見ていた客のひとり、特派員は男の生活を思いやった。
明日からのこづかいはどうするのだ? まあ、いいか。
特派員はおもむろにカウンターに向き直ると、
あくまでも強気で、「小肌ください!」「シメサバください!」
と個別で注文した。
安いから頼んでいるのではない。
オレは青魚の大好きなイキな男なのだ。
そんな雰囲気を装いながら。
そして平然と白い皿ばかりを平らげ、店を出た。
「帰りに50%引のカツオをスーパーで買おっと」
そんな言葉を発するのが、なんだかすごい贅沢に思えた。
店内では依然として、絵皿暴発男が目の色を変え、
絵皿のネタにむしゃぶりついているのであった。
The End
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投稿者 Napori Takao : 08:55 | コメント (2) | トラックバック (0)
コメント
こんにちは。
回転寿司を食べながら、
隣をちらっと一瞥したりしますね。
お皿で値段が一目瞭然。
いいような、悪いような・・・(笑)
投稿者 ひまわり : 2006年07月08日 16:50
ひまわりさんへ
あ、やっぱりみなさん見てるんですか。
ボクは高いものばっかり食べてる人の横は緊張します。
投稿者 ナポリタカオ : 2006年07月10日 09:54
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